アド・ミュージアム東京

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ピュア・デザイン D&AD Awards 2015 2015.10.29(thu) -11.28(sat) アド・ミュージアム東京 [ 入場無料 ]

デザインとは何か。その定義は残念ながら曖昧である。あるデザイナーの天才的な思いつきか、あるいは見た目が格好良く出来ているものか。どちらも否である。デザインは、実証科学(サイエンス)である。デザイナーは仕事を受けると、そこにある根源の問題を見つけ出す。その問題を解決しうる仮定を立て、検証を重ね、結論を導く。失敗してはこの仮定をくり返し、アウトプットにつなげるのがデザインという作業なのである。自分が生きてきた全ての体験と圧倒的な基礎力で挑む。あえて言うならば、装飾的な美しさは副産物。むしろデザインがそこに存在することに気づかないほどスムーズな状態こそ、『デザイン』である。世の中にもっと正しいデザイン(ソリューション)を。デザインは、いまや特別な環境やそれを好む人だけが手にするものではなく、あまねく供給されるべきライフラインのようなものだ。D&ADは、世界のデザインを評価するアワードである。常にデザインの在り方を問い、クリエーティブ界に多大な影響を与えてきた。1963年創設当初は、ジャーナリズムの力が強く、報道写真やマガジンに多くの賞が与えられた。それらのデザインは「社会を見る視点」を提供した。70年、80年代はCMなどの広告が、90年代はあのパソコンが受賞し、デザインは「ブランド哲学を語るもの」という新たな指針を示した。その視点は、マクロでは世界情勢を、ミクロには人の心の動きを深く洞察している。2015年の日本において、デザインの本質を見逃す手はない。

デザインが無ければ、人は生きられない。

開催にあたって Opening the Exhibition

“Yellow Pencil”の名で知られる非営利団体D&AD(本部:英国・ロンドン)の「D&AD Awards」は、あらゆる分野のデザインや広告作品を対象に、次世代を切り拓く卓越したクリエーティブ゙を顕彰する国際的な賞です。今年で53回目を迎える同Awardsは、審査の厳しさで定評があり、世界中の制作者たちが憧れる最高峰のクリエーティブ賞としても知られています。
アド・ミュージアム東京は、2008年よりこのD&ADとの共催により「D&AD Awards」 の受賞作品を毎年紹介しており、今年で第9回を迎えます。
D&ADは、優れたデザインを世界中のあらゆる人々に届け、人の心を動かして豊かなより良い社会を築くことをミッションに掲げています。今年の受賞作品を見てみますと、社会課題に取り組んだキャンペーン、マーケットと流通の仕組みを変えたプロモーション、テクノロジーで人の心を動かしたインスタレーションなど、デザイン(ソリューション)はいまや私たちの生活のあらゆる場面になくてはならない要素となっていることを如実に表現しています。
本展では、D&ADの優れた受賞作を通じて“デザインが無ければ、人は生きられない”と、あらためて考えることのできる空間を目指して展示を構成いたしました。会期中、展示の装飾的な美しさだけに留まらない、クリエーティブの力とデザインの本質に出合っていただければと願っております。 アド・ミュージアム東京 館長 森 豊子

ごあいさつ Introduction

今年で9回目となるD&AD賞展がアド・ミュージアム東京ではじまりました。世の中をよりよく変えようとクリエーティブに取り組む人々の手により、今年も創造性あふれる作品が多数生まれました。
D&ADは1962年以来、優れたデザインおよび広告作品を表彰・展示するとともに、クリエーティブの質の向上に貢献すべく取り組んできました。私たちは卓越したクリエーティビティを顕彰し、他のデザイナーやクリエーターに創造的な刺激を与えることを常に活動の目的としてきました。D&ADは非営利団体であり、余剰金はすべてD&AD財団を通じ、国内外のクリエーティブ産業の発展のために使われています。D&AD New Blood(学生プログラム)などの取り組みでは、若手に発表の舞台を用意し、自信をつけさせ、業界著名人から直接話を聞く機会を与えるなど、成功へと導くための支援を行っています。
「D&ADペンシル」は、クリエーティブ業界で最も獲得が難しい賞であり、なかでも「ブラック・ペンシル」は最高の栄誉です。今年は例年に比べブラック・ペンシル受賞者が少なく、競争が激しさを増していることを物語っています。優れた作品にはひとの心を動かす力があります。ペンシル受賞者の作品はどれも人間の感情を強く揺さぶります。今年のブラック・ペンシル受賞作品には、"#LikeAGirl"のように性別に関する固定観念に疑問を投げかけたものや、"Inglorious Fruits and Vegetables"のように、人知れず捨てられていく果物や野菜にユーモアを用いて焦点を当てたものが選出されています。
世界の見方を変える科学技術の力には常に興味をそそられます。「プロフェッショナル・アワード」で個人的に最も印象的だった作品の1つが、日本の国立天文台の「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」です。この作品では、音楽という非常にシンプルで人間的なものを用いて、950光年の彼方にある「ちょうこくしつ(彫刻室)座R星」という遠く離れて姿もとらえがたい存在を表現しています。嫉妬するほど美しい作品です。残念ながらここですべての受賞作品をご紹介することはできませんが、ペンシル受賞者はまぎれもなく世界最高峰です。
今年のプロフェッショナル・アワードでは、日本から47の作品がペンシルに選出され、うち5つは卓越した作品にのみ与えられるイエロー・ペンシルを獲得するなど、日本はアジアの中でひときわ群を抜いていました。日本人はユニークな視点を持ち、素晴らしいデザインの伝統と、未来を牽引する革新的なテクノロジーを融合することに長けています。今年生まれた見事なクリエーティブの数々から、ぜひインスピレーションをうけとってください。 D&AD プレジデント Andy Sandoz アンディ・サンド

D&ADとD&AD Awardsについて

D&ADは、1962年創立のロンドンに本部を置く非営利団体です。1963年に始まったD&AD Awardsは、あらゆる分野のデザインやクリエーティブを対象に、次世代を切り拓くような卓越したクリエーティブを顕彰する国際的な賞です。また、創立以来、大学やアートスクールなどで精力的に教育活動を行い、若い人材の育成に注力しています。2012年には、D&AD創立50年を期して、世界をよりよくするための優れた作品を顕彰するホワイト・ペンシルを新設しました。長年にわたる活動によって、デザイン、クリエーティブの国際的な権威ある組織へと発展しています。

今年のD&AD Awards

D&&AD Awardsは今年で53回目を迎えました。
2015年5月下旬、全世界から集まった220人の審査員によって審査が行なわれ、イエロー・ペンシル44作品、最高賞であるブラック・ペンシル5作品、また社会に影響を与えた作品に授与されるホワイト・ペンシル4作品が選出されました。
(受賞数上位国:1位イギリス、2位アメリカ、3位日本)

  • ブラック・ペンシル5 Awards
  • その分野で新たな道を切り拓いた革新的なクリエーティブに与えられる最高賞。
  • ホワイト・ペンシル4 Awards
  • Creativity for Good。クリエーティブなアイデアによって、世の中にポジティブな変化をもたらした作品に与えられる。
  • イエロー・ペンシル44 Awards
  • D&ADの象徴であり最も素晴らしいクリエーティブとして評価された作品に与えられる。
  • グラファイト・ペンシル207 Awards
  • (NOMINATIONから名称変更)
  • シルバーに相当する賞。独創的なアイデアを軸に持つ、美しく際立った作品に与えられる。
  • ウッド・ペンシル587 Awards
  • (IN BOOKから名称変更)
  • ブロンズに相当する賞。D&AD年鑑に掲載するのにふさわしい広告とデザインに与えられる。

トークイベント Talk event

3名のプロフェッショナルをスピーカーに迎え、D&ADをはじめ、世界の広告賞受賞作品を通じて、広告コミュニケーションの現在を考えます。

90分でわかる世界の広告事情

開催概要

【日時】 11月19日(木)18:30~20:30予定 【会場】 アド・ミュージアム東京 階段ホール 【スピーカー】 須田和博氏(株式会社博報堂 クリエイティブディレクター)
八木義博氏(株式会社電通 クリエーティブディレクター)
【ファシリテーター】 菅付雅信氏(株式会社グーテンベルクオーケストラ 代表取締役/編集者)

11月19日(木)開催予定のトークイベントは申込み受付を終了いたしました。
沢山のお申込み、ありがとうございました。

受賞作品 Awards

  • Inglorious Fruits & Vegetables Direct
  • #LikeAGirl White Pencil - Creativity for Good
  • Film4 Idents Branding
  • K9FM Radio Advertising
  • G . F Smith Branding
  • Human Traffic Sign White Pencil - Creativity for Good
  • Nazis Against Nazis -Germany's Most Involuntary Charity Walk White Pencil - Creativity for Good
  • This Is Wholesome White Pencil - Creativity for Good
  • LEGO: Everything is NOT awesome White Pencil - Creativity for Good

Inglorious Fruits & Vegetables Direct
Client:Intermarché
Nation:France
フランスの大手スーパーマーケットチェーン、インテルマルシェのキャンペーン。
奇妙で不気味な形のジャガイモやオレンジ、レモンなど、見た目の悪い野菜や果物も味や栄養は規格品と変わらないことを訴え、食品の廃棄を減らそうという試み。通常なら廃棄処分となる不格好な野菜や果物を生産者から買い取り、通常より3割安い価格で顧客に提供するキャンペーンを企画した。

#LikeAGirl White Pencil - Creativity for Good
Client:Procter & Gamble
Nation:Canada
「女の子らしさ」の意味を社会に問いかけたP&Gの生理用品ブランド、オールウェイズのキャンペーン。
思春期を迎えた女の子は自信喪失の最大の危機に遭遇する。オールウェイズは彼女たちの自信を取り戻すために、問題の核心に切り込んだ。社会通念にとらわれた「女の子らしさ」と女の子自身が考える「女の子らしさ」を対比させ、それを本来のポジティブな意味に変えることを試みた。

Film4 Idents Branding
Client:Laura Ward
Nation:United Kingdom
イギリスのテレビ局、チャンネル4傘下の映画専門チャンネル、フィルム4の新しいステーションロゴ。
目指したのは多様な映画の内容にフィットする柔軟性と特定のジャンルにはまらない曖昧さを兼ね備えたロゴ。その結果、映画の歴史へのオマージュであると同時に、映画マニアもニヤリとするようなシーンを含む16個の新しいロゴが誕生した。
※シリーズ中5本を展示

K9FM Radio Advertising
Client:Mars
Nation:New Zealand
ドッグフードブランド、ペディグリーのラジオキャンペーン。
犬は留守番でストレスを感じるため、ラジオをつけっぱなしにしていく飼い主が多い。そこでペディグリーは犬専用のラジオ局K9FMを開局。犬を落ち着かせるクラシック、分離不安症を緩和する人間の声、刺激を与え続ける環境音、飼い主からのメッセージなどを組み合わせ、毎日24時間放送した。
※K9:犬科の動物を意味する「canine」をもじっている
※分離不安症:一人きりになると不安を感じ問題行動を起こす症状

G.F Smith Branding
Client:G.F Smith
Nation:United Kingdom
1885年創業のイギリスの紙卸商社、G・F・スミスのブランディングキャンペーン。
同社の歴史と伝統、パイオニア精神を祝し、そのサービスを支える技術を見つめ直したCI(コーポレートアイデンティティー)。新しいブランドマークは1885年創業のプライドと常に最先端を目指すパイオニア精神の二面性を表現している。ブランドマーク横の手を描いたシンボルは紙の専門家としてのブランドの役割を表す。様々なアイテムだけでなく、HPなどのデジタル環境も刷新された。

Human Traffic Sign White Pencil - Creativity for Good
Client:Shanghai General Motors
Nation:China
上海ゼネラルモーターズが世界交通安全デーに中国で実施したビュイック(乗用車ブランド)の交通安全啓発キャンペーン。
9人の交通事故の被害者に混雑のピーク時の事故多発現場で人間交通標識になってもらい、多くの運転手や歩行者に交通標識には意味があること、生死に関わる問題だからこそルールを守らなければならないことを強力に訴求した。CMはテレビで放送、バイラル動画はインターネットで公開された。

Nazis Against Nazis -Germany's Most Involuntary Charity Walk White Pencil - Creativity for Good
Client:ZDK Gesellschaft Demokratische Kultur
Nation:Germany
ドイツの非営利団体ZDKによる反ネオナチ・チャリティキャンペーン。
毎年ドイツの小さな町、ヴンジーデルに集結するネオナチは2014年11月15日に予想外の事態に遭遇した。毎年恒例のパレードは彼らが1m歩く度に10ユーロがネオナチ脱退支援活動、EXIT-Deutschlandに寄付されるというチャリティ活動になっていた。そのため参加者は自ら寄付活動に参加するかパレードを諦めて退散することしかできなかった。結果的にパレードは最後まで行われたが、1万ユーロがEXIT-Deutschlandに寄付された。

This Is Wholesome White Pencil - Creativity for Good
Client:Mondelez International
Nation:United States
アメリカの老舗クラッカーブランド、ハニーメイドのキャンペーン。
ハニーメイドはアメリカの家庭で長年慣れ親しまれてきたブランドだが、時代遅れになりつつあった。そこで人種の違う両親や同性婚の両親など、変化するアメリカの家族を描いたキャンペーンを実施。たとえ変化しても健全な家族であることに変わりはないと訴求した。同性婚に反対する人々からの不買運動も起こったが、ネット上のネガティブなコメントを印刷して「LOVE」のメッセージに変えるというインスタレーションで対応した。

LEGO: Everything is NOT awesome White Pencil - Creativity for Good
Client:Greenpeace
Nation:United Kingdom
環境保護団体グリーンピースによる「北極を救おう」キャンペーンの一環として、大手玩具メーカー、レゴに北極海での石油掘削を進める石油会社シェルとの提携解消を呼びかけたプロジェクト。
レゴのファンや環境保護活動家、ミレニアル世代(1980年代~2000年代初頭生まれ)とその親、YouTube世代をターゲットにレゴで作った北極海が真っ黒な原油に汚染される様子を描いた動画を制作。動画は世界中で話題になり、3カ月後にレゴはシェルとの50年に及ぶ提携契約の解消を発表した。
※音楽はティーガン&サラによる映画『レゴ・ムービー』の軽快なテーマ曲「すべてはサイコー」を悲痛な曲調にアレンジしたもの

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展示のようす Photo gallery