アド・ミュージアム東京

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Another Mountain ONE SHOW 2015 2016年1月22日(金)-2月27日(土) アド・ミュージアム東京(入場無料) 主催:公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団/The One Club for Art & Copy 協力:株式会社 電通

開催にあたって

今年最初の企画展は、1975年に米国・ニューヨークで若手クリエーターの才能発掘と育成を目的として設立された非営利団体「ワンクラブ(The One Club for Art & Copy)」 が主催する世界三大広告賞のひとつ「ワンショー(The One Show)」の受賞作品をご紹介します。

「ワンショー」は、毎年、世界中のトップクリエーターがその審査にあたり、世界の広告界が注目するクリエーターたち憧れの権威ある広告賞です。
2015年度の受賞作品を見てみますと、アメリカらしいシニカルでユーモアに溢れた広告作品やエンターテイメントやイノベーションにとどまらず、ジェンダーなど社会問題に立ち向かったものまで、世の中を動かした素晴らしいアイデアがひしめいています。
近年、テクノロジーの進化によるメディア環境の変化は、広告を新しいステージへ導いています。多くの話題をさらったキャンペーンほどメディアを超えて、そのアイデアが受け入れられているようです。顕在化するグローバルな社会問題を広告的発想や手法で解決していこうという試みは、既に大きな潮流になりつつあります。

本展では、世界の動きを変える一つ一つのアイデアを世の中の景色を作る「Mountain」になぞらえました。Mountainすなわち優れたアイデアは、私たちに常にインスピレーションを与え、新たな景色や変化に気づかせてくれる巨大な存在です。
『広告を見ると、世界が見える』。高く、険しく、見たことのない景色が見える。世界の景色をつくるクリエーティブやコミュニケーションのアイデア、―“Another Mountain”ONE SHOW 2015展―をどうぞご堪能ください。

アド・ミュージアム東京 館長 森 豊子

ごあいさつ

「ONE SHOW 2015展」へようこそ。この展示では、毎年、その年のワンショー(The One Show)におけるGold Pencilをはじめとする受賞作品を展示しています。アド・ミュージアム東京とワンクラブ(The One Club for Art & Copy)の共催による本展示で、世界中の革新的で優れた最新作をご紹介できることを光栄に思っております。

今年は世界65カ国から22,400点の応募がありました。

私は日本が今回も世界レベルの非常に素晴らしい成果を見せてくれたことを大変喜ばしく思っております。日本のエージェンシーは、デザイン部門で2年連続、最高賞を受賞しています。2014年には博報堂がデザイン部門で最高賞のBest of Showに輝き、そして2015年は電通が同賞を受賞しました。
これにより、電通は世界のエージェンシー受賞ランキングにおいて、堂々の4位に輝きました。詳しくはこちら

また、デザイン部門における日本の広告代理店の順位を見てみますと、上位13社中5社を日本企業が占めており、それにも増して素晴らしい結果となっています。
詳しくはこちら

今年ワンショーにエントリーしたすべての国を対象とした国別ランキングでは、日本は英国、オーストラリア、ブラジル、ドイツを抜き、2位にランクインするという偉業を成し遂げました。
詳しくはこちら

日本のエージェンシーは、世界の舞台でデザインやコミュニケーション分野におけるリーダーとしての力を示したのです。

ワンクラブは選りすぐりの、示唆に富んだ広告や新しいメディア、デザインをワンショーから世界各地に広めていくことを目指す中で、アド・ミュージアム東京と11年を超えるパートナーシップを築いてきたことを大変誇りに思っております。

The One Club CEO
ケビン・スワニポール

One Showについて

ワンショー(The One Show)は、世界屈指の国際コンペティションのひとつとして知られている。毎年5月、ニューヨークで世界の一流クリエーティブ・ディレクターが審査にあたり、様々なジャンルの卓越したクリエーティブを紹介し、優れた作品を精力的に送り出している。2015年は、一般広告対象のアドバタイジング部門をはじめとする13部門で実施された。
本展では、2015年の受賞作品から、上位賞と日本からの受賞作を中心に紹介する。

One Clubについてニューヨークに拠点を置くワンクラブ(The One Club for Art & Copy)は、広告・デザインの分野でアメリカを代表する非営利団体。広告における卓越したクリエーティブの「技」を称え、クリエーティブの価値を高めることをミッションとする。
1975年に、The Art Directors Club と The Copy Clubの2つの団体が実施していた広告賞を統一して運営するために設立された。約1,000名の会員には、広告界をリードするアートディレクターやコピーライターが名を連ねており、若い人材を育成するセミナーやワークショップの開催、季刊誌「ワン・マガジン(One Magazine)」の発行など、精力的な活動を展開している。

作品紹介

Best in Design

行くぜ、東北。日本 / JR東日本 / 電通

JR東日本の「行くぜ、東北。」キャンペーンポスター。
旅の楽しさは乗り物の楽しさでもある。乗り物に乗った瞬間、普通の日が非日常となり、旅が始まる。列車をキャンペーンの主人公に仕立て、ローカル線をヒーローにしたポスターを展開。キャンペーンは東北に旅の楽しさを取り戻し、被災地の復興を支援した。

Best in Print & Outdoor

Poachers密猟者
オーストラリア / WWF / Leo Burnett

オーストラリアの密猟撲滅を訴えるWWFのプリント広告シリーズ。
下段に密猟者、中段に仲介業者、上段にエンドユーザーという構図を用いて、犀角やフカヒレ、虎の毛皮などの密輸ルートの複雑さと脆さをわかりやすく訴求。この密輸ルートの一部を崩すことにより、これらの違法取引の撲滅が可能であることを示唆している。

Best in Branded Entertainment

Between Two Ferns with Zach Galfianakis: President Barack Obamaザック・ガリフィアナキスの2つのシダの間で:バラク・オバマ大統領
アメリカ / Healthcare.gov(医療保険加入サイト) / Funny Or Die

国民皆保険を目指した米国の医療保険制度「オバマケア」のプロモーションのためにオバマ大統領自らが出演したオンライン番組。
映画『ハングオーバー』シリーズで有名な俳優のザック・ガリフィアナキスが司会を務めるこのトーク番組で、大統領は毒舌を吐きまくるザックに冷静に対応するだけでなく、時には辛辣な質問に対して機転を利かせた回答をしたり、反撃に転じるなどして、ユーモアのある意外な一面を見せ、若者からも支持された。

※『ビトウィーン・トゥ・ファーンズ』はハリウッドスターのウィル・フェレルが手掛けるオンライン・コメディサイト『ファニー・オア・ダイ』で配信されている若者に人気の毒舌トーク番組。司会のザック・ガリフィアナキスが毎回大物ゲストを相手に失礼な質問を連発し、時にはゲストを本気で怒らせることも。過去にブラッド・ピットやジャスティン・ビーバー、シャリーズ・セロンなどが登場している。

Best in Cross-Platform

Nazis against Nazis - Germany's most involuntary charity walkナチス対ナチス - ドイツで最も強制的なチャリティウォーク
ドイツ / ZDK Gesellschaft Demokratische Kultur(NPO) / GGH Lowe GmbH + Grabarz & Partner Werbeagentur GmbH

ドイツの反ネオナチ・チャリティキャンペーン。
ドイツの小さな町ヴンジーデルでは、毎年ネオナチが集結しパレードをする悪習が横行していた。そこで、ネオナチ脱退を支援しているEXIT-Deutschlandは、パレードで彼らが1m歩く度に10ユーロがに寄付されるというチャリティ活動を展開。結果的にパレードは最後まで行われたが、1万ユーロがEXIT-Deutschlandに寄付された。

Best in Direct

Tattoo Skin Cancer Checkタトゥーで皮膚がん検診
ブラジル / ソルデジャネイロ / Ogilvy Brasil

ブラジルの日焼け止めブランドによるタトゥーアーティストを活用した皮膚がんの早期発見プログラム。
高齢者だけでなく若者にも多い皮膚がんの早期発見を促進するために、普段から若者と接しているタトゥーアーティストの協力を募った。彼らに皮膚がんを見分ける講習を受けてもらい、修了者には皮膚がん診断の免状を与えた。キャンペーン開始からわずか2週間で早期の皮膚がんが発見されるなどの成果があった。

Best in Film

Awkward Family Viewing気まずい家族
アメリカ / HBO GO / SS+K

アメリカのケーブルテレビ局HBOのオンラインフィルムシリーズ。
離婚や不倫、同性愛、ティーンのセックスなど、際どい内容のHBOの番組を一緒に見て気まずい雰囲気になってしまう家族を面白く描写。劇中ではHBOの看板番組である『ゲーム・オブ・スローンズ』、『トゥルー・ディテクティブ』『ガールズ』などの映像を使用。スマートフォンやタブレットなどを使い、親のいない場所で好きな番組を視聴できるオンデマンドサービスHBO GOのメリットを訴求している。

Best in Intellectual Property

Baidu Kuaisou百度筷搜(スマート箸)
中国 / 百度 / 百度

中国最大手検索エンジン、百度が開発したスマート箸。
食の安全を脅かす出来事が相次いで起こっている中国で、地溝油と呼ばれる粗悪な原料から作られた再生食用油が特に大きな社会問題となっていたことから、百度は2014年のエイプリルフールにそれを検知するスマート箸の動画を発表した。動画はあくまでジョークだったが商品化を希望する声が殺到したため商品開発に着手。紆余曲折の末に完成したスマート箸は政府関係者や海外のメディアから大きく注目され、インターネットユーザーの健康増進にも貢献した。

Best in Mobile

Flash Photo Postersフラッシュ・フォト・ポスター
イギリス / 小児眼がん信託基金 / Wunderman

イギリスの網膜芽細胞腫の患者支援団体による早期発見啓発キャンペーンポスター。
網膜芽細胞腫は乳幼児に多くみられ、発見が遅れると命にかかわる眼のがんだが、早期発見と治療により治癒させることができる。患者の目は一見普通に見えるが、フラッシュを使って写真を撮ると瞳孔が白く光るという。そこで、患者の子どもたちをモデルに、スマートフォンのカメラで撮影すると白く光る特殊なインクを使用したポスターを制作。ポスターは病院や保育園などに掲出し、親たちに病気の見つけ方を体験してもらうことで早期発見を啓発した。

Best in Radio

Rising Voices声高らかに
アルゼンチン / ロマス・オーラル学校 / Ogilvy & Mather Argentina

アルゼンチンの聴覚障害児学校による国歌斉唱プロジェクト。
聴覚障害児のための特別な訓練や教育を行っているアルゼンチンのロマス・オーラル学校では不況のために寄付金が減少。そこで学校独自の収入源を探すことにした。アルゼンチンではすべてのテレビ&ラジオ放送局に国歌の放送を義務付けていることから、子どもたちは国歌斉唱にチャレンジ。それが放送されて得た印税で、学校の運営資金を補うことに成功した。

Best in Responsive Environments

Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museumクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館
アメリカ / クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館 / Local Projects + Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum

ニューヨークにあるクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館のインタラクティブ体験プログラム。
博物館はハイテクのスタイラスペンと超高解像度のタッチスクリーンテーブルを使ったユニークでインタラクティブな体験を提供。入館者はデザイナーの立場からデザインについて学ぶことができる。

Best in Interactive / Best in Social Media

Gisele Bündchen-Will Beats Noiseジゼル・ブンチェン:意志は雑音に打ち勝つ
アメリカ / アンダーアーマー / Droga5

スーパーモデルのジゼル・ブンチェンを起用したアンダーアーマーの「私の意志のままに」キャンペーン。
周囲の雑音に惑わされることなく自分の意志を貫く強い女性を応援するスポーツ用品メーカーのアンダーアーマーは、あえてアスリートではなくモデルのジゼル・ブンチェンとの契約を発表した。その2日後、実際にネット上に寄せられた批判的なコメントが背景に映し出される中、これらの雑音を物ともせず、キックボクシングに打ち込むジゼルの姿を描いたCMを放送してブランドメッセージを訴求。さらに、ジゼルに関するネット上のコメントをすべてリアルタイムで表示するサイトも作成した。

Best in UX / UI

The Berlin Wall of Soundベルリンの音の壁
ドイツ / サウンドクラウド / GREY Germany + GREY Berlin

音声ファイル共有サービスのサウンドクラウドによるベルリンの壁崩壊25周年記念プロジェクト。
かつてベルリンの壁があった場所に本社を置くサウンドクラウドは、ベルリンの壁の犠牲者を追悼するためにベルリンの壁を音声で再現した。サウンドクラウドの特徴である波形表示を使って壁と監視塔を表現。音声には政治家の演説や銃声が埋め込まれ、7分32秒という長さは壁の端から端へ音が届くまでの時間となっている。また、コメント欄にはベルリンの壁の犠牲者の名前と死因が表示された。

展示の様子