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〇〇の本棚

広告界のレジェンドによるおススメ本シリーズ第8弾!

佐々木 宏 (ささき ひろし)
クリエーティブディレクター [ DENTSU→シンガタ→連🚀 ]
1954年九州熊本で生まれ。その後、東京から北海道と幼少期は全国縦断の日々。ビートルズに熱狂。陸上50メートル6秒台の自称俊足でスピードスケートにも夢中。中学時代に東京に戻るが、父親が急逝。ドラえもんと出会う。愛読書も座右の銘もドラえもんになる。苦学生となるが、奨学金によりK大学卒業。サザンとユーミンもその頃デビュー。TV局のディレクターを目指すが、不況のため募集ゼロ。77年電通入社。新聞雑誌局6年を経て、28才の時クリエーティブ局への転局。コピーライター(ヘボ)となる。34歳でクリエーティブディレクター。上司や、スタッフ、クライアントに恵まれ、幸運な電通生活26年を卒業し、48才で「シンガタ」設立。様々な波瀾万丈も、「かえって、よかった」をスローガン?に、ヘラヘラ乗り越え、リオ閉会式ハンドオーバーで地球を3周し、やがて、シンガタは円満卒業。ひとりで、「連🚀」を創設。で、更なる艱難辛苦が!しかし、救いの手を頂きながら、しぶとく、図々しくも、現代に至る。古希を間近に、まだ働いている。趣味は、広告。と、iPhone📱。あとは、場末の飲み屋で、食べて、飲んで、歌うこと。週一のテニス試合と、駒沢公園ウオーキングも続ける。172センチ83キロ。元気。ま、幸せ。

主な仕事
◎SoftBank 犬のお父さん白戸家シリーズ。ブラピ&キャメロン。SMAPなどのCMシリーズ、孫社長(現・会長)の下で、=SofBankのCIから始まり、様々なブランド創りに18年関わる
◎SUNTORY コーヒーBOSSを31年。矢沢永吉から「宇宙人ジョーンズ」まで。3.11直後の『見上げてごらん夜の星を』など「歌のリレー」、モルツ球団、リザーブ友の会、ウイスキーKONISHIKIなど
◎UNIQLO 「LifeとWear」綾瀬はるかと桑田佳祐の楽曲による「ふだん着の日が人生になる」「しあわせって、今日のことだ。」シリーズを3年。ヒートテック、AIRism、感動パンツなど
◎マクドナルド「ごはんバーガー」「夜マック店長ドラキュラ」シリーズなどを4年
◎日清食品 どん兵衛「どんばれ」加山雄三と佐藤健シリーズ
◎富士フイルム 化粧品「アスタリフト」宮崎あおいと岡田将生の列車の旅シリーズ。他に「お正月を写そう」「樹木希林お店」シリーズ
◎TOYOTA ビートたけしと木村拓哉が東北をドライブする「ReBORN」、実写版「ドラえもん」、樹木希林と堺雅人を中心にTOYOTAのCM出演タレントを集結させた「TOYOTOWN」、さらに「ピンクのクラウン」、「ECO PROJECT」、「コロナ氏」など、34年様々なキャンペーンに関わる
◎JR東海「そうだ 京都、行こう。」30年のシリーズの最初の10年を担当
◎ANA 9.11の直後の新聞「ニューヨークへ、行こう」「LIVE/中国/ANA」「travel Smap」など
◎資生堂「UNO FOGBAR」ビートルズロンドンシリーズ
◎江崎グリコ「オトナグリコ サザエさん家の25年後」宮沢りえ、小栗旬、瑛太、他
◎KDDI合併直後の企業広告「伝わってる?」豊川悦司、永瀬正敏、浅野忠信。auブランドキャンペーン
◎三井不動産「芝浦アイランド」街づくりとSMAPキャンペーン
◎東京海上日動 SMAPキャンペーン
◎福井市「一乗谷プロジェクト」
◎リオオリンピック閉会式ハンドオーバー[安倍マリオ]などプロデュース
◎サンリオピューロランド 休園救援キャンペーン
◎北海道命名150周年「キタデミー賞」プロデュース
◎映画「STAND BY MEドラえもん」応援隊長
◎福島県ふたば未来学園 応援キャンペーン

本は読まないといけませんか47

えー、おそらく、本が大好き、趣味は読書、とか、あの本に救われた、あの本で目が覚めた、とか、ま、そういう方が多いから、こういう企画あるのでしょう。

蔵書多数、見識豊富、頭の中に図書館がズラリと蓄積されているような大先輩の愛読書から導かれた人生のヒントをチラリ教えます、みたいな。あ、ごめんなさい。人選ミスです完全に。私、本、全然読まないことで知られる、もうすぐ70歳の男です。はっきり言って、本、キライ
本読まない主義者とかでもなく、本が読めない。ついテレビを観ちゃう。いまだと、つい、LINEに没頭してしまう。活字がびっしりの本なんて、読めなくて、ここまで来てしまった。これは大人になったら大恥かくだろう、とか、どうしよう、愛読書なんてないから『ドラえもん』と書いておこう、など。
ただ、意外にも、この年になっても、まだ、広告の仕事を続けているし、クリエーティブディレクターとか言ってたりしますし、私と長い付き合いの福里真一くんとかは、私のモノ知らずや、浅すぎる知識とか、非常識でおバカな部分がバレないように私たちスタッフが守って支えてあげないとイケない、などと宣っているのだが、
ま、そうこうするうちに、世の中、知識なんてなくても、iPhoneがあれば、すぐ検索できるし、計算もできるし、近頃では、イメージもアイディアもChatGPTなどのAIから溢れ出てくる始末。最近、私の高校の先輩が亡くなって、葬儀に行って、骨を拾ったが、本の虫のような人間で、おまえも少しは本を読め、が口癖だったが、灰の中には、本の知識は皆無だった。“勿体ない” 不謹慎だがそう思った。

本を読まないと、大人になれないんだろうか、と不安だった時期もあるが、別にそんなこともない気がする。本をたくさん読んだ偉い人や、博学な人や、センス抜群の人と、ごはん食べたりして、いろいろ吸収させてもらえばいい。お笑いのセンスのある人の番組を観て、学べるものはたくさんあるし、流行り唄を聞いて、たくさんの恋愛や人生を感じ取ればいいし、NHKスペシャルや、上質のドキュメントや、社会派の映画など観て、音や、ビジュアル付きの知識、問題意識を高めればいいし、YouTubeで、容赦ないぶった斬り論客から、世の中のだいたいの嘘や真実を見破る力をもらえばいいし、逆に言うと、本をのんびり読んで、アー読書楽しい、とか言っている場合じゃないかもよとすら思ったりする。そうでもないかな 読書嫌いは少数派でしょうね。

読みたいと思ったりする本は、Amazonで購入し、Kindle版で、iPhoneでサササッと流し読みして、秒読する、なんてほうが意外に頭に入ったりする。忘れたくない部分は、画像で保存しておく。

いままでで、一番、なんども読んだ本。『試験にでる英単語』おかげでなんとか現役で大学に行けた。
いままでで、一番、役に立った本。本田宗一郎 『夢を力に』
「僕は本を読むのが嫌いだ。本というものには過去のものしか書かれていない。」と書いてあったから。

ということで、
ごめんなさい。読書ほぼしていない私の選んだ10冊とかって、意味があるのか、ですよね。話すと結構、流暢に話すものだから、自分の薄っぺらさをはぐらかすために、論点をズラす才能だけあるみたいですし、つまり、多分、役に立たないと思います。怖いもの観たさでも、スルーしたほうがいいかも。

BEATLESを聴いて以降、これを超えるミュージシャンはいないと決めて、事実いなかった。桑田佳祐さんと松任谷由実さんの音楽と約50年近く一緒に生きてきたことに感謝しかないし、YOASOBI、Vaundyという凄まじい才能を歌っている自分を笑いたい。

本を読む人を、はい、尊敬しています。人間味を増して、包容力を得て、見識と風格を得て、そして、顔にも出てくるんでしょうね、きっと。
ただ、
皆さん、読んだ本、覚えていますか?
得た知識、すぐ引き出せてます?
常識に縛られて、頑なになってません?
テレビばっかり観ていた私ですが、案外引き出し多かったり、
あと、例えば、樹木希林さんとCMのお仕事で20年近いお付き合いがありましたが、この方との世間話と来たら、それだけで本100冊分。忘れられない言葉の連続でした。結構忘れましたが。
椎名林檎さんとは不思議なご縁がありますが、パンドラの箱的な独特の世界観、妖しくも緻密でロジカルなリリックは、芥川賞ものかなと。

※ここだけの話ですが、私は小学校の4年までは、結構本を読んでいました。自宅にあった父の蔵書、河出書房新社の『世界文学全集』と『日本文学全集』を、それぞれ25巻ほどありましたが、読破したようです。何一つ覚えていませんが。『嵐が丘』が「あ」のせいか、最初でしたね、たしか。谷崎潤一郎の『痴人の愛』とかも読んでいたことになります。意味わかっていたのでしょうか。
美輪明宏さんによると人間の脳は、だいたい小学校の4年くらいで出来上がってしまうのだとか。その後は下降線をたどるそうです。いくら本読んだり、知識を得ても、だめだそうです。はい~

村上春樹さん、
一冊しか読んでない。

そうですね。一冊しか読んでいませんが、この方が、ノーベル賞候補になるのはわかりました。『ノルウェイの森』は、単行本も、文庫本も、買いました。おしゃれだから装丁が。恋愛ものかなと思うとまず読む気がしないので。最近UNIQLOのCMで、綾瀬はるかさんと石川佳純さんが、どちらもたまたま、村上春樹さんの本を読んでいたという企画を。『海辺のカフカ』は、蜷川幸雄さんの舞台で観てエラく感動したので選びましたが、読んでないです。
一緒に企画している福里真一くん、細川美和子さん、照井晶博くんは、春樹全部読んでる派で、どの本にするか喧嘩になりました。みんな偉いなあ。

「ノルウェイの森 上・下」

村上春樹 著 | 講談社 | 1987年

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

村上春樹 著 | 文藝春秋 | 2013年

藤子・F・不二雄さん、
実は、21エモンが好き。

藤子・F・不二雄さん、つまり、藤本弘さんを尊敬しています。ドラえもん大好きと公言してきた私ですが、勇気を出して言いますが、私が座右の銘だと言ってきた『ドラえもん』は、第3位で、第2位が『SF短編集』で、実は一番好きなのは『21エモン』なんですね。古い潰れそうなホテルの2代目の話です。佐々木は、ドラえもんをこよなく愛している、ということになっておりお土産はどら焼きが一番喜ぶらしいという噂もありますが、実は、どら焼きは好きじゃないのです。ドラえもんは、もちろん好きですが、あまりに世の中的にBIG になりすぎ、大の天邪鬼としては、3位くらいということに。ドラえもんの3DCG 映画「STAND BY ME ドラえもん」の応援団長を申しつかり、その時の副産物みたいな形で原作?台本?のような本を作らせていただきました。夢のような出来事でした。不思議な本です。藤本先生が私に書かせているような錯覚もあり、嘘ですが。それを遡ること30年前、TCC 東京コピーライターズクラブが毎年発刊している『コピー年鑑』の編集長をやった時に、ドラえもん年鑑、作りましたね。「コピーライターは、ドラえもんだもんね。」というタイトルで、ご了解を得て、実現したと記憶しています。ドラえもん、という漫画と出会った、コロコロコミックは、間違いなく、私の読書遍歴を狂わせましたね。ドラえもん、というシステム、企画にやられました。その後の人生も影響受けたなと、思わざるを得ません。

「21エモン」

藤子・F・不二雄 著 | 小学館 | 2018年(新装版)

「新訳『ドラえもん』​​​」

藤子・F・不二雄 漫画原作 佐々木宏 文 | 小学館 | 2014年

「TCC広告年鑑 1993」

東京コピーライターズクラブ 編 | 誠文堂新光社 | 1993年

小説家って感じの人よりも
話が面白い人の書いている本が好き。

向田邦子さんという作家が好きでほぼ全部読んでいるんですけど、短編の中でもこれ、『男どき女どき』が素晴らしいなと思う。全部短編で10分くらいで読み終わる。短編集だとすぐ読めるし、特に『男どき女どき』が良かった。特に秀逸な一遍がありますが、よければご自分で探してみてください。
そういや、筒井康隆さんの短編集も好き。短いのに限る。この方はもともと放送作家なんですね、ラジオとかドラマの。『時間ですよ』とか『寺内貫太郎一家』とか大ヒットドラマがあります。そういう人が本を書くっていう意味では、ビートたけしさん、爆笑問題太田さん、三谷幸喜さん、古市憲寿さん、とか、話が面白い人の本は、読めちゃいますね。

「男どき女どき」

向田邦子 著 | 新潮社 | 1982年

自分のこと自慢しない。むしろ卑下する。
それが素敵、と教わっちゃった。

西尾忠久さんのフォルクスワーゲン広告を企画のお手本として紐解いた本。たくさんの広告関係者がバイブルとしている本ですが、いわゆるDDBのこの手法は、広告界の危険思想。これに染まると、煙たがられる。いかに日本の広告主が求める表現の手法と違うか。が、わかってしまう。TOYOTA ECO-PROJECT の立ち上げの時、この「まだまだですが」、というキャッチを通すのは至難の業でした。

「クルマの広告」

西尾忠久 著 | KKロングセラーズ | 2008年

佐々木さんの言うことって、
ニーチェに似ている。と言われたんです。
ニッチェじゃないです。ニーチェ。

明治大学の齋藤孝さんと仕事でお付き合いがあって、「佐々木さんの話はニーチェにそっくりだ」って言われて、「申し訳ないけど私ニーチェなんて読んだこともないから、向こうが真似してるんだと思います」って答えて笑われました。ニーチェって名言が多いんです。「神は死んだ」、とかね。それは、一見怪しい持論みたいなのをもっともらしく書いているという意味では 似ているのかも。ある日、空港でニーチェの本を買って、飛行機の中で読みました。なるほど、似ているなって思いました。“本当かな、でもそうだとしたら面白いな”みたいな辺りを狙ってるな、こいつ。ニーチェめ。勘違い男、と言われそうですが、光栄です。

その名言から…
多くのことを中途半端に知るよりは何も知らないほうがいい。
他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ。
人が意見を反対するときは、だいたいその伝え方が気に食わない時である。
あなたにとって最も人間的なこと。それは誰にも恥ずかしい思いをさせないことである。
一日一日を始める最良の方法は、目覚めの際に今日は少なくとも一人の人間に、一つの喜びを与えることができないだろうかと、考えることである。

「超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版」

フリードリヒ・ニーチェ 著 白取春彦 訳 | ディスカヴァー・トゥエンティワン | 2015年

歴史小説読むより、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』
観るほうが、楽しくないですか。
臨場感と、映像や音楽や、なんやかやあったほうが。

椎名林檎さんに推薦されて、観に行きました。この根本宗子さんという女性の劇作家・演出家が素晴らしくて、それの脚本が売っていたので、これは読みました。読んだというかな、やっぱりこういう話し言葉のやりとりはすごく面白くて。たしかに素晴らしかったんですよ。巨匠という人の舞台や、ご招待を受けた演劇などはたまに観に行きますが、女性ということもあるし若いということもあるし。こういう新しい人がいて、それに目をつけている椎名林檎さん、という構造がいいなと思いました。劇中歌の『青春の続き』を高畑充希さんが熱唱するのですが、これがまたすごいのなんの。演劇と台本と歌と。ただの読書より、忘れません。

【あらすじ】
主人公のゆりか(高畑充希)は子役から女優として活躍しているが、驚くほど業界に染まれていない。30歳を迎え、同級生たちが次々と結婚し子供を産んでいく中、「私は何のためにこんなことをやっているのだろう」と自分の存在の意味を見つけられずにいた。そんな彼女の心を日々支えているのはマネージャーの大小路(成田凌)。ある日ゆりかのもとに「21年前にやったミュージカルの記念公演のカーテンコールで、テーマ曲を歌ってくれないか?」という依頼が飛び込んでくる。それは彼女の原点となった舞台だった。大小路に説得され仕事を引き受けたゆりか。現場で、当時一緒にトリプルキャストとして主演を務めていた真理恵(小池栄子)と杏香(伊藤万理華)と再会する。自分の人生を肯定したい3人は、他者を否定することでなんとか自分を保っていた。その会話は21年前も今も変わらない。
過去と現在を行き来しながらゆりかは自分の人生を振り返り、孤独に押しつぶされそうになる。日々増える無力感の中、ゆりかは自分の人生の肯定の仕方を考え始め・・・。

「舞台『宝飾時計』台本」

根本宗子 作・演出 | 2023年

「地球は終わる」みたいなの大好き

映画もパニックものが大好きでして。地球に惑星が衝突する系のもの、飛行機が乱気流にさらされるなどは欠かさず観ます。趣味悪いでしょう?「地球の科学大陸は移動する』は東大の竹内先生の本で、ウェゲナーという人が、かつて唱えた大陸移動説、つまり、アメリカ大陸とアフリカ大陸は昔くっついていて、世界は一つの大陸だった。この話を聞いた時の驚きは凄かったです。
地震はなぜ起きるかみたいなことも書いてある。日本の下には太平洋プレートがあって、それがズルっとズレると地震が起きて揺れるんですーみたいなことが書いてあり。いやーもう、ワクワクしたのなんの。この本に影響された人がもうひとりいて、小松左京さん。そして、「日本沈没」が生まれ、大ベストセラーに。もちろん真っ先に読みました。これと、ほぼ同じ時期に出たのが「ノストラダムスの大予言」。1999年7月、空から恐怖の大王が降ってくる、でお馴染みの。いやはや、書いた五島勉さんの顔も怖かった。大学生だった私は、慶應大学の放送研究会に入っていて、三田祭で、この3冊をあわせたドキュメンタリードラマ「美しい星」を制作して発表したりしました。わけわからない作品だと酷評されましたが。「地球はいつか終わるんだ」みたいな、そういうのが好きなんです。籐子・F・不二雄さんのSF短編集に、地球が終わる系の作品がありますが、普通、だいたい、最後は、そうは言っても地球は救われましたとか、親子が愛の力で助かったとかになりますが、藤本先生のそれには、本当に、地球は終わりました、で終わっている作品があり、驚きました。あれ、地球終わっちゃった、という作品。さすが、藤本先生。

「地球の科学 ―大陸は移動する―」

竹内均 著 上田誠也 著 | 日本放送出版協会 | 1964年

「日本沈没​」

小松左京 著 | 光文社 | 1973年

「ノストラダムスの大予言 ―迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日」

五島勉 著 | 祥伝社 | 1973年

経済って、全然わからなかったんです。
雅彦くんのおかげで、わかった気になって。

これも空港で買って、あっという間に読んで、本当に「経済ってそういうことだったのか!」と思ったので実にありがたい。電通の同期だった佐藤雅彦くんはCM界を一斉風靡した天才ですけど、経済学者竹中平蔵さん相手に怯まず、子供相談室のように小難しさゼロで、さすが。「日経新聞って大体こういうことが書いてあるんだよ」が、とてもわかりやすかったのです。
井上ひさしさんの例の有名なフレーズを、この本は実践していると思います。————

「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに そして ゆかいなことはあくまでゆかいに」————

この日から、日経新聞を読むのが楽しくなったかというと、全然そうではないのですが、経済って、おい、なかなか面白いじゃんと、少し感じるようになりましたし、エコノミストって、胡散臭いと偏見があったのですが、預言者みたいで、面白いと感じるようになり。あと、同期で紫綬褒章まで上り詰めた佐藤雅彦くんが、この本のおかげで、前よりちょっと好きになり、
たまーに連絡を取ったりするようになりましたね。

「経済ってそういうことだったのか会議」

佐藤雅彦 著 竹中平蔵 著 | 日本経済新聞社 | 2002年

パートナー力を教わった。高濱正伸、丈太朗親子にはなまるをあげたい。

はなまる学習会で有名な高濱正伸さんと、パラリンピックがきっかけで知り合いになりました。モテる人に、メシ食える人に育てる、というフレーズのなんとヒザ打つ感じだこと。いい顔だし、幸せそうだし、と思ったら、この子のおかげなんですと、丈太朗くんを紹介されました。重複障害で生まれた彼のアート作品に驚いた。今度はトライアスロンに挑戦するというから、またのけぞった。「パートナー力」という彼の気づきに、なんとも言えず、動かされました。この親子に惚れてしまった。

「わが子を「メシが食える大人」に育てる」

高濱正伸 著 | 廣済堂出版 | 2010年

「メシが食える大人になる! よのなかルールブック」

高濱正伸 著 | 日本図書センター | 2019年

福井市の「一乗谷プロジェクト」は、「芝浦アイランド」と繋がってまして。ちょっと色々ミステリーゾーン。

これは15年くらいやっているのかな、この一乗谷っていう場所が色んなことを繋げてくれて。色んな面白いことがあるんですけど。もともと一乗谷っていう場所は、私が全日空を担当していた時代の宣伝部長がいて、その方の故郷が福井市でリタイアされたあと、発見された朝倉氏の遺跡・一乗谷というのがあるので、一乗谷のポスターを4枚作ってくれという話があったのを、それこそ30種作って六本木の地下の大江戸線のエスカレーターの壁に貼って。それがたまたま交通広告賞のグランプリを頂いたんですね。それだけじゃなんだな、と思って、まずソフトバンクの犬のお父さんの故郷だ、っていうことでCMを作ったりして、さらに調子に乗って、吉永小百合さんと樹木希林さんをお連れして、「こんな何もない辺鄙な場所でも、プラチナバンドは繋がるわね」というCMも。しまいには、犬のお父さんと宇宙人ジョーンズをコラボさせて、一乗谷へ行くCMまで作りました。そして、なんだかんだ、15年ほど。福井市とのお付き合いは、続いているようです。

自分でこじつけていることを「おそろしい偶然」って言い換えると、ミステリーっぽくなるじゃないですか。『Shibaura Island』は三井不動産の仕事なんですけど、実は、一乗谷の仕事が来た時だったんです。もともと芝浦にあった砂糖工場の跡地を三井不動産が開発して4棟のマンションに大体1万人が入る、っていうプロジェクトをSMAPを使ってやりました。でね、これ(『一乗谷 DISCOVERY PROJECT』)に一乗谷の地図があるんですけど、1万人くらいの、京都に次ぐ大きな都市がなぜか福井の山の中にある。これ(『Shibaura Island』の形)とほぼ近いんですよ。一乗谷は1万人が消えたんです。織田信長が焼き払ったので1万人住んでいた人が、一瞬にして消えていま、朝倉氏の遺跡になっていますね。で、その人たち1万人がここ芝浦アイランドに移動したって仮説。形も似ているのと、1万人の人がやって来る街と1万人の人が消えた街。

希林さんと吉永さんのCM撮影で福井に行った時に、休み時間に希林さんとお話ししていて。希林さんが南平台にお住みだったんですね。南平台っていうと代官山界隈ですけど、代官山と言えば朝倉一族の朝倉邸。代官山がなんであんなにおしゃれな場所になったかというと、朝倉さんという方が「日本の街づくりを変えよう」って建築家の槇さん(槇文彦さん)や色んな人と絡んで、「あの辺全体を普通の住宅街や駅前商店街の作り方じゃなくて、全体を公園のような住み心地の良い街にしよう」ってことで作った街です。「そのセンスは朝倉って名前から来ているんじゃないか?」という仮説を希林さんがしていて「この朝倉とあの朝倉は繋がっているんじゃないか? 佐々木、調べろ」みたいなことになってまだ証拠は見つかっていないですけど、代官山ミステリーゾーン、謎探しは続いています。
福井市一乗谷 → 港区芝浦アイランド → 渋谷区代官山
島でもあり船でもある。そういえば、今年の2月にボスの仕事で、ヴェネチアに行ってきました。そこに、不思議な本屋があり、ゴンドラの上に書棚を作ったり、この地で生まれたマルコ・ポーロの本が積んであったり。

「一乗谷 DISCOVERY PROJECT」

一乗谷 DISCOVERY PROJECT 著 | 新潮社 | 2011年

「Shibaura Island」

三井不動産レジデンシャル他 | 2005年

こういう人たちと近づきたかった。
こういう大人になりたいというイメージが。

大人になると、政治の悪口、経済の最悪予測、競馬と麻雀とスキャンダルで出来上がった週刊誌を読まないといけないと思うと嫌だったんですけど、たしか20代後半の時に『BRUTUS』が出来て。『POPEYE』はずっと読んでいたので、『POPEYE』のお兄さんが出来たぞ、っていう感じで嬉しかったですね。面白かったですね。マガジンハウスのおかげというか、とてもセンスが良くて、文化のかおりがして、おしゃれで、いろいろ画期的だったんです。植草甚一さんの『宝島』や、糸井重里さんたちの『ビックリハウス』など、おしゃれで、知的で、カルチャーで、西武百貨店で、パルコで、というおいしい生活な感じが、日本に沸き立ち始めたころの象徴的な雑誌創刊だったのかなと。私は、当時、電通で、雑誌部というメディアにいたりしました。

「『BRUTUS』創刊号」

平凡出版 | 1980年

カタログ、パンフレット、
凝りまくるの大好き人間😍
コロナに乗る人「コロナ氏」のカタログ教科書仕立て。

操上和美さんが撮影で。関くんと岡くんとの仕事。車じゃなくて「コロナ氏はこんな人です。」という「コロナ氏」についてのパンフレット。もう一つ『コロナ氏全仕事』という教科書を作ったんです。コロナ氏は大学助教授だったので、形としては大学の教科書なんだけど、実は中身はセールスプロモーションギラギラのもの。当時のコロナのライバル車、日産のブルーバードと比べていかにコロナが良いかっていうすごいダイレクトな内容ですが、それを教科書のようにして品よく伝えたっていう本ですね。いちおう、この年の広告賞を席巻した広告ですが、コロナ禍、という言葉が、時代を一掃してしまったいま、コロナと聞くと、恐ろしい疫病、みたいになってしまいました。

「コロナ氏全仕事」

トヨタ自動車 | 1993年

YOASOBIの「アイドル」という曲を歌えます。読んでます。

YOASOBIは、「THE BOOK」「THE BOOK 2」「THE BOOK 3」があり、本棚に入れられるように作られていて、もともと、彼らは小説を音楽にがコンセプト。Vaundyや、Adoや、King Gnuなどなどとんでもなく才能豊かなアーティストが犇めいているが、YOASOBI『アイドル』は、ビルボードで首位になる快挙。無謀ではあったが、この曲に食いついた。100回聞いて、歌えるようになった。Ayaseとikuraの2人は、色やイメージを音にする声にする天才同士。成田悠輔助教授との対談で、たしかに、YOASOBI「アイドル」のライブを見ていると、その熱狂ぶりが、尋常ではなく、[3分の楽曲で国が変わる。]という気もする。彼が言うように、人間はなかなか不条理な世界を生きているわけだけど、だからこそ、時々お祭りに興じて、我を忘れたりするわけだが、この世界を一回忘れて、別の世界に行くことを一番手助けしてくれて、それを凝縮しているのが、音楽なのかなと。「そう、嘘はとびきりの愛だ」とか、「見えそうで見えない秘密は、蜜の味」とか、なんとも絶妙なセリフの数々が並ぶ。息絶え絶えに歌いながら、小説を読んでいる気になる。タワーレコードで買ってきた本3冊。3分ほどの短編集。向田邦子や、筒井康隆の本なら読める自分には、若かりし頃、サザンや、ユーミンの、歌詞に、下手な詩や文学よりリアリティを感じていたが、69歳になっても、20代の天才ミュージシャンの文学音楽にやられちゃっている。幸せだ。

「アイドル」

YOASOBI | ソニー・ミュージックエンタテインメント | 2023年

展示用ハンドアウトのデジタル版を閲覧いただけます。

デジタル版冊子『20 BOOKS SELECTED BY HIROSHI SASAKI』