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コレクション

PR紙

今日のPR誌にあたる刊行物の嚆矢としてあげられるのが、明治11年に薬店を営む守田治兵衛が発行した『芳譚雑誌』や、明治30年に丸善が創刊した『学燈』です。これらは自社製品の広告や目録と同時に有名作家による執筆文も掲載し、文学雑誌という役割も持っていました。
PR誌を発行した会社は様々な業種に渡りますが、特に明治後期に呉服店が百貨店への移行を図っていた頃には、販売戦略の中核としてPR誌が積極的に活用されました。特に遠隔地への販路拡大をいちはやく考えていた当時の三井呉服店は、PR誌に注文書を折り込んで、購入の便宜を図りました。今日でいう通信販売にあたるこの商法は積極的に推し進められ、その後、他の呉服店も追随します。
カタログの要素を強く持つこれらのPR誌は、新しい生活スタイルを提案することによって、見る側の潜在需要を掘り起こしていきました。
このように雑誌やカタログの性質を含むこれらのPR誌は、当初は有料でしたが次第に一般化し、やがて無料になりました。

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